運動クラブ活動をしている小中高生、スポーツ選手にケガはつきものです。
足首の捻挫(足関節靭帯損傷)はスポーツ外傷のうちで最も頻度が高いもので、日本スポーツ協会(JSPO)によると手の突き指に次いで第2位となっています。
参考: スポーツ外傷の競技別特徴
「骨が折れてなかったから練習しても大丈夫」と思っていると、足首の関節が不安定になって癖になることもあります。
しっかり治して競技に復帰するために、足関節捻挫のことを知っておきましょう。
足関節捻挫を起こすのはどんな時?
足首の捻挫は、ジャンプの着地や切り返し、ダッシュから急激にストップした時などに多く起こります。身体同士がコンタクトする競技や選手同士がぶつかって転倒した際に身体が足に乗っかかって受傷することもあります。
足首が内側にひねられて起こる「内反捻挫」と外側にひねられて起こる「外反捻挫」がありますが、足関節の形態上「内反捻挫」が多くみられます。
足首の捻挫では外側の靭帯を痛めることが多い
内反捻挫では、足関節の外側にある靭帯(下図参照)を痛めてしまいます。
このうち「前距腓靭帯」の損傷が最も多く、重症例では「踵腓靭帯」まで痛めることがあり、この二つを痛めてしまうと足関節の不安定性が残って癖になりやすいと言われています。
足関節捻挫ではどんな症状が出ますか?
内反捻挫(つま先が内側に向くようにひねって痛める)では足関節の外側に、外反捻挫(つま先が外側に向くようにひねって痛める)では内側が腫れて赤くなり(炎症)、押さえると痛い圧痛がみられるようになります。
受傷後から炎症を起こし、徐々に炎症が強くなっていきます。(ピークは24~72時間後)
周囲の筋肉や関節包などを傷めると内出血もみられるようになり、次の日に局所に大きなアオタンが出来てビックリするということがよくあります。
痛みによって立つこと、歩くことが難しくなりますし、痛めてすぐは損傷を拡げないために安静にするのが原則です。
受傷直後の応急処置(RICE処置)については、こちらの記事:捻挫、打撲、肉離れ、など急に痛めた時にはどうしたらいい? 応急処置の基本 を参考にしてください。
しっかりと治さないと足首の関節が不安定になってグラグラしたり、足首を動かすと引っかかった感じが出てくる(軟骨が欠けたり軽度の変形を起こしている)ことがあります。
※ ここが痛かったら「剥離骨折」の可能性があります。
足の小指のつけ根の骨に沿って確認していくと、腱の付着部に強い圧痛が確認できることがあります。
この部は「腓骨筋」という筋肉の腱が付着するところで、内反捻挫を起こした時に腱によって骨が引っ張られ剥離骨折を起こすことがあるので注意が必要です。(かなり多いですよ)
足関節捻挫ではどんな検査をしますか?
足関節捻挫を起こした現場では、靭帯損傷と骨折を見極めるのは難しいと思われます。
原則として「RICE処置」だけを行ない、出来るだけ早期に医療機関を受診しましょう。
整形外科などの病院では「X線写真(レントゲン写真)」を撮ることが一般的です。
「X線写真」では骨折があるかどうか?を確認します。
骨折がなければ「骨は異常無し」と言われますが、違う言い方をすれば「骨以外の筋肉や腱や軟骨や靭帯や関節包などを傷めている」ということです。
骨折が無いと患者さんは安心しがちですが「骨折よりも靭帯損傷の方が治りにくい」ので、しっかりと処置しておかねばなりません。
靭帯や腱などの軟部組織の状態をみるには「MRI」が良いのですが、個人病院では施設が無いので大きな病院に行かないといけないかもしれません。
最近では、個人病院で「超音波(エコー)」による検査機器があるところも増えています。「超音波」はやわらかい組織を読影するのに優れているので、靭帯損傷だけでなく内臓の状態をみたりすることがありますね。
足関節捻挫の治療はどのように行いますか?
受傷直後は必ず「RICE処置」を行ないましょう。
骨折が無いと「湿布で済ませる」というケースが多いのですが、テーピングや包帯、ギプスなどで固定しておく方が良いでしょう。
従来は、固定と免荷(めんか、体重をかけないようにすること)で数週間の安静という治療でしたが、近年は「足関節装具」へ早期に変更し、保護下で荷重させることが治癒促進と競技復帰の観点からも推奨されるようになっています。
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