腰痛の原因は何ですか?
腰痛で悩んでいる方はとても多く、厚生労働省が行なっている国民生活基礎調査によると自覚症状のあるものの中で「腰痛」が男女ともにトップです。。
何故なんでしょうね…。
僕は「原因」と「治療」がうまく合っていないからじゃないかと思っています。
腰痛の原因はたくさんあります
日本整形外科学会、日本腰痛学会が策定した「腰痛診療ガイドライン2019」では腰痛の原因を次のように分類しています。
– 脊椎腫瘍(原発性・転移性腫瘍など)
– 脊椎感染症(化膿性椎間板炎・脊椎炎・脊椎カリエスなど)
– 脊椎外傷(椎体骨折など)
– 腰椎椎間板ヘルニア
– 腰部脊柱管狭窄症
– 腰椎分離すべり症
– 腰椎変性すべり症
– 代謝性疾患(骨粗しょう症・骨軟化症など)
– 脊柱変形(側弯症・後弯症・後側弯症)
– 非化膿性炎症性疾患(強直性脊椎炎・乾癬性腰痛など)
– 脊柱靭帯骨化
– 筋・筋膜性
– 脊柱構成体の退行性病変(椎間板性・椎間関節性など)
– 仙腸関節性
– 股関節性
腰痛の原因は大きく分けて3つ(細かく分けると7つ)
患者さん自身が病名を覚えてもあまり意味がありませんね…。
かなり大雑把な言い方をすると、腰痛の原因は「骨が悪い」のか「筋肉が悪い」のか「関節が悪い」のか、の3つに分けられます。
「関節」というのは、いくつかの組織で作られています。
「関節が悪い」という場合、「靭帯が悪い」、「関節包が悪い」、「関節軟骨が悪い」、「椎間板が悪い」というものに分けられます。
前述の病気たちも、ほとんどこの分け方で理解できます。
例えば、「筋・筋膜性腰痛」というのは、筋肉が悪いものの代表例です。
(筋肉が炎症を起こしていたり、筋肉が硬くなっていることが多いです)
「椎間板ヘルニア」は、腰椎と腰椎の間に挟まっている椎間板がはみ出てくるものですから「椎間板が悪いもの」になります。
(前述の「腰痛の原因疾患」もこの分け方でほとんど理解できます)
腰痛を治すための治療法は?
かなりシンプルに治療法を考えるのであれば、「筋肉が悪いなら筋肉への治療」、「椎間板が悪いなら椎間板への治療」をすれば治るはずです。
なのに治らない腰痛がある理由は、「色んなものが合併しているから」。
例えば「椎間板ヘルニア」は、腰椎と腰椎の間に挟まっている椎間板がはみ出てくる病気です。
けれどそれだけじゃなくて、腰椎の周りの筋肉が硬くなっていることがとても多い。(つまり「筋肉も悪い」という状態)
患者さんによっては腰椎と腰椎のズレが大きくなっていて、腰椎の関節(椎間関節)の靭帯を痛めていたり、軟骨を痛めていたりしていることもあります。
ですから、椎間板ヘルニアは単に「椎間板が悪いもの」ということではなく、椎間板を中心として「筋肉も悪い」、「靭帯も悪い」、「軟骨も悪い」というのが合併しているんですね。
色んなものが合併している「急性期の椎間板ヘルニア」の患者さんがいたとします。
痛みへの関わりが
椎間板 … 60% 筋肉 … 30% 靭帯 … 5% 軟骨 … 5%
…という患者さんがいたとしたら(こんなに単純に数字では表せられないですが)
筋肉をマッサージしても良くならないでしょうね。
けれど「慢性化した椎間板ヘルニア」の患者さんで、
椎間板 … 30% 筋肉 … 50% 靭帯 … 10% 軟骨 … 10%
という関わりだったとしたら、
筋肉をマッサージしてやわらかくすれば、痛みの半分は取れるかもしれません。
かなり大雑把な解説だったと思いますが、何となく伝わりましたか?
言いたかったのは、「状態に合わせた治療法、対処法をしましょう」ということです。
ご自身の身体に当てはまっていないことを続けても良くなることは難しいでしょう。
若いうちは「筋肉性のもの」が多いです。
じょじょに中高年になると「筋肉性のもの」に「関節性のもの」、「椎間板性のもの」が加わってきます。
さらに年齢を重ねると「骨性のもの」にまで進んでいきます。
(いわゆる「変形性腰椎症」というやつです)
出来れば「骨」まで悪くなる前に、何とかしたいところです。
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