肩こりは、厚生労働省が行なう国民生活基礎調査によると、女性の有訴者率の第1位、男性の2位となっているほど一般的にみられる症状です。
多くは首すじ、肩から背中にかけての筋肉へ負担をかけることで起こる「疲労性」のものですが、内科疾患や婦人科疾患など「別の病気」の症状として出てくるものもあります。
この記事では、単なる肩こりではなく「病気の症状として起こる肩こり」を解説します。
思い当たる方は、適切な医療機関での受診をしましょう。
肩こりの分類
肩こりには以下のようなものがあります。
- 本態性肩こり: 特別な原因疾患がみとめられないもの。疲労性のものが多い。
- 症候性肩こり: 何らかの原因疾患の症状として出てくるもの。
- 心因性肩こり: ストレス、うつ状態、自律神経失調症により生じるもの。
このうちの「症候性肩こり」を起こすメカニズムはまだはっきりとしていませんが、内臓の病変を伝える神経と筋肉の状態をつたえる神経が脊髄内で接続していることによって起こる説や、内臓の病変の情報が筋肉の病変の情報として脳に伝わってしまう「関連痛」との関係による説などがあります。
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症候性肩こりを起こす代表的な疾患
症候性肩こりを起こす病気はたくさんあります。(下記参照)
多くは整形外科領域の病気ですが、脳梗塞や脳出血など命に関わる神経系疾患もあり注意が必要です。
整形外科疾患
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 変形性頚椎症
- 五十肩
- 肩峰下インピンジメント症候群
- 動揺性肩関節
- 腱板断裂(肩腱板損傷)
- 三角筋拘縮症
- 関節リウマチ(RA)
- 胸郭出口症候群
- 肘部管症候群
- 手根管症候群
- 肩甲上神経麻痺
- リウマチ性多発筋痛症
- 線維筋痛症
- 骨・軟部腫瘍
内科・外科疾患
- 脳血管障害(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)
- 慢性頭痛(片頭痛、筋緊張性頭痛)
- 胃炎
- 膵炎
- 胆嚢炎、胆石
- 肝炎
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 肺癌(パンコースト腫瘍)
その他の領域の疾患
- 更年期障害
- 副鼻腔炎、鼻炎
- 眼精疲労、視力障碍
- 虫歯、咬合不全
疲労性の肩こりについて
特別な原因疾患のみとめられない「本態性肩こり」のうちで多くみられるのは「疲労性肩こり」です。
疲労が蓄積すると筋肉は硬くなります。筋肉が硬くなれば局所は血流不足を起こします。
血流が不足するということは、疲労した筋肉が回復するための酸素や栄養素がじゅうぶんに供給されないということです。
酸素や栄養素がじゅうぶんに供給されないと筋肉の疲労は回復しないため、さらに疲労が蓄積し肩こりも治らず…という悪循環に陥ることになります。
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