「何もないところでつまづく」、「ちょっとした段差でも足が引っかかる」など高齢になると転びやすくなります。移動能力が低下し、骨粗しょう症などがあると、転倒して骨折を起こして「寝たきり」になるケースもよくみられます。
当院に来られるご高齢の患者さんたちも転ぶことには気をつけておられ、「転んで寝たきりになりたくない。どんな運動したらいい?」とよく聞いてこられます。
この記事では「転倒予防のための筋トレ」、「転びにくい靴の選び方」をご紹介しますので、最後まで読んで参考にしてください。
転倒死亡事故の第1位は「障害物のない同一平面上での転倒」
厚生労働省の人口動態統計(2018年度)によると、「不慮の事故」による死亡は41,238人、そのうちの9,645人(23.4%)が「転倒・転落・墜落」の死亡となっています。特に65歳以上は8,803人で、交通事故による死者(2,646人)をかなり上回る数字になっています。
しかも「転倒・転落・墜落」による死亡の要因としては、障害物のない同一平面上での転倒が86.7%と最も多くなっています。
死亡には至らなくとも、肩の「上腕骨近位端骨折」、手首の「橈骨遠位端骨折」、股関節の「大腿骨近位部骨折(大腿骨頚部骨折)」、背骨の「脊椎圧迫骨折」などの骨折を起こすことがよくあります。
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高齢者が転倒しやすい原因は「足が上がらなくなること」
障害物のない平面でも転んでしまう原因のひとつは「足が上がっていないこと」です。
歩行時に足を前に出す時には太ももが上に持ち上がり、つま先が上に上がらないといけません。
下図は「歩行周期」の図です。
太ももを上げる時には「大腿四頭筋」、つま先を上げる時には「前脛骨筋」という筋肉が働きます。
高齢になり、筋力低下や関節拘縮が目立つようになると足が上がらなくなりつまづきやすくなるのです。
つま先をあげる「前脛骨筋」は特に重要で、筋力が衰えるとつま先が上がらない「すり足歩行」となり足が平面でも引っかかりやすくなります。
「何もないところで、足が引っかかって転んでしまって…」と、当院に来られる患者さんはとても多くみられますし、皆さんの周りでもよく聞く話なのではないでしょうか?
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転倒予防のための筋トレ
転ばない下半身を作るには、まず「太もも」と「ふくらはぎ」の筋肉のトレーニングを行ないましょう。
前脛骨筋と下腿三頭筋の筋トレ
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大腿四頭筋、股関節の筋トレ
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大腿四頭筋、殿筋のトレーニング
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大腿四頭筋、膝関節を強くするトレーニング
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歩行機能をアップさせるための準備トレーニング
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鍼灸整骨院院長が解説 ~転びにくい靴の選び方~
転ばないためには、つま先が持ち上がっていないといけません。
上記の筋トレで筋力がつかないうちは、靴でサポートしておくのが良いでしょう。
選ぶ際のポイントは「靴底が平らでなくつま先が少し持ち上がっていること」です。
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当院の患者さんには、アサヒシューズの「快歩主義」をお勧めすることが多いですね。
アサヒシューズさんは創業130年の老舗で、介護シューズも有名です。
つま先も適度に上がっているのでつまづきにくい設計になっています。
ソールの形状も軽く「船底型」なので、踵がついてからつま先が離れるという動作がしやすくなっています。(別記事にて解説予定です)
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