ぶつけたり捻ったり、関節に痛みがあると病院では「レントゲン写真」を撮ることが一般的です。
「骨折があるかどうか?」の診断に使われるというのは何となくご存知と思いますが、それだけではないんです。
そして、レントゲン写真を撮れば「全てが分かる」わけでもありませんので、「何のために撮るのか?」「レントゲン写真で何が分かるのか?」を知っておきましょう。
単純X線検査とは?
「単純X検査」は、いわゆる「レントゲン写真を撮ること」です。
「レントゲン写真」は「X(エックス)線写真」と言ったりもします。
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X線は電磁波の一種で、物質の透過性が高い(通り抜けやすい)性質を持っています。
体内の組織によってX線の透過性に差があるので、空気などはX線が通しやすいため「黒く」写り、骨や脂肪などは通しにくいため「白く」写ります。
この性質を利用して、身体の中を写真で撮ることが出来るのです。
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単純X線検査はどんなときに撮る?
単純X線検査はX線の透過性を利用して体内の状態を撮影するものですが、整形外科分野では「骨の状態」をみる時に行なわれます。
「骨折」、「脱臼」などが疑われる場合や、「変形性関節症」などで骨の変形度合いを確認する時に、一般的に行なわれています。
がんなどが「骨転移」することもあり、実は「命に関わる病変があるかどうか?」を確認することがレントゲン写真の優先事項なのです。
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X線は「骨の状態」をみるのには優れたものなのですが、平面的で、筋肉や血管などの軟部組織は写せません。ですから、骨の立体像や石灰化をみるには「CT検査」、軟部組織をみるには「MRI検査」を行なうことが必要になります。
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X線にうつるもの、うつらないもの
X線写真は、X線発生器とカセッテ(フィルム)の間に被写体(人体)を置き、X線を当てられた被写体のX線吸収率を画像化したものです。
身体の組織によってX線の透過性が違うため、白く写るところ(X線を通さないところ)と黒く写るところ(X線をよく通すところ)があります。
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X線写真の読影
骨、関節のX線写真では、「骨折があるかないか?」だけでなく以下の点をみます。
- 骨の輪郭の形状、辺縁の連続性
- 骨陰影の濃淡
- 骨膜反応の有無
- 関節裂隙の幅
- 関節における骨同士の位置関係
- 関節内の遊離体や石灰化の有無
このうち「骨膜反応」は、骨折の後の癒合具合を確認するものでもあるのですが、骨の中に「腫瘍」が出来ている時にもみられる所見です。(骨がん転移、肉腫など)
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骨の性状像
骨の正常像では、皮質骨と海綿骨のみが描出されます。
皮質骨、海綿骨など「骨についてのお話」はこちらの記事:骨について で詳しく解説していますので、参考にお読みください。
大人の骨と成長期の子どもの骨では骨の写り方が違います。子どもの骨では「骨端線」、「骨端核」というものが写ります。
健側との比較で異常がわかる場合も多いので、原則的に両側で撮影されます。
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